エービーセレツィオーネ リクオーレ・アル・カカオ "アナンダ"|サンスクリットで「至福」と名づけられた、本物のカカオのためのリキュール
「チョコレートのお酒」と聞いて、甘ったるいデザート系のリキュールを思い浮かべる方は多いかもしれません。けれど、この アナンダ は、そうした既成概念を静かに、しかし確かに覆してくる一本です。
名前の「アナンダ(Ananda)」は、サンスクリット語で「至福」「歓喜に満ちた喜び」を意味します。一口含んだとき、思わず目を閉じてその余韻に浸ってしまう——そんな体験を約束する名前です。手がけるのは、イタリア・ピエモンテ州の造り手、エービーセレツィオーネ。ピエモンテは、ワイン(バローロ)と並んで、実はイタリア屈指のチョコレート文化を育んできた土地でもあります。
その歴史は16世紀半ばにまで遡ります。新大陸でカカオが「発見」されてからわずか数年後、チョコレートはアルプスを越えてピエモンテに伝わり、サヴォイア公エマヌエーレ・フィリベルトの宮廷で愛されました。公の食卓には「デッセール・レアーレ(王のデザート)」と名づけられたチョコレート菓子が並んでいたと伝えられています。アナンダは、その由緒あるピエモンテのチョコレート文化への、現代からの敬意とも言える一本なのです。
■ このボトルの物語
アナンダが「ただのチョコレートリキュール」と一線を画す理由は、その素材と造りにあります。
使われるのは、エクアドル産の希少で高貴なカカオ豆「アリバ・スペリオール・セレクト(Arriba Superior Selecto)」。世界中の高級チョコレートが憧れる、フローラルで複雑な香りを持つ最高級の品種です。そしてその豆の選定を託されたのが、トリノを拠点に世界的な名声を誇るショコラティエ、グイド・ゴビーノ。チョコレートの世界で「イタリアの顔」とも称される彼が選び抜いた豆を、アルコールに漬け込んでじっくりと香味を移していく(インフュージョン)——それがこのリキュールの製法です。
そして最も大切なのが、糖分の少なさ。アナンダの甘さは、法律で定められた最低基準ぎりぎりに抑えられています。つまり、砂糖でごまかすのではなく、最高級カカオそのものの、本物の、濃厚で力強い味わいで勝負しているということ。事実、その実力は世界最高峰のスピリッツ品評会「コンクール・モンディアル・ブリュッセル」で金メダルを獲得することで証明されています。
■ 香り——焚かれたチョコレートと、スパイスの森
グラスに注ぐと、まず目を奪われるのが、深く濃密なマホガニーレッドの色。透明感を湛えたその色は、アリバ種のカカオ豆ならではのものです。
香りは、甘いだけではありません。立ちのぼってくるのは、燻したチョコレートのような深い香ばしさ、カルダモン、ピンクペッパー、そして白檀(サンダルウッド)を思わせるエキゾチックでスパイシーなニュアンス。その全体を、濃厚なカカオバターの香りが土台のように支えています。例えるなら、古い香木が焚かれた静かな部屋で、誰かが上質なチョコレートをそっと温めている——そんな、官能的で、想像力をかき立てる香りです。
■ 味わい——情熱的で、どこか妖艶
口に含んだ瞬間の印象を、本国のテイスティングノートは「燃えるようで、情熱的で、けだるく、そして轟くよう」と表現します。それほどに、味わいは雄弁です。
主役はあくまでカカオ。けれどその周りで、クローブ(丁字)、ターメリック、そして香ばしくローストしたヘーゼルナッツが複雑に絡み合います。中盤からはピンクペッパーとカイエンペッパーのきりりとした刺激が顔を出し、カカオパウダーの粉感とともに、味わいに張りつめた緊張感を与える。甘いだけのチョコレートでは決してたどり着けない、大人のための、スパイスを纏ったカカオの世界です。
■ 余韻
フィニッシュは温かく、優しく包み込むよう。けれどその最後に、ほんのわずかに、ピリッとした辛みのような余韻が残ります。甘美と刺激、官能と緊張。相反する感覚が一杯の中で同居し、飲み終えたあともしばらく、その複雑な後味から離れられなくなる——まさに「至福(アナンダ)」の名にふさわしい締めくくりです。
■ 楽しみ方
まずはストレートで、常温、あるいは少し冷やして。最高級カカオの香味そのものを、ゆっくりと味わってください。氷を落としてオン・ザ・ロックにすると、温度が下がるにつれてスパイスの輪郭が引き締まり、また違った表情を見せます。
食後酒(ディジェスティーボ)として、一日の終わりにそっと寄り添わせるのもおすすめです。チョコレートを使ったドルチェやティラミス、ローストしたナッツとの相性は格別。さらに、糖分が控えめでカカオの芯が強いため、カクテルのベースとしても非常に優秀です。エスプレッソマティーニ系のレシピや、ミルク・クリームを使ったデザートカクテルに少量加えるだけで、ありきたりな「チョコレート風味」が、奥行きのある本格的なカカオの香味へと一変します。
■ スペック
- 造り手:エービーセレツィオーネ(イタリア・ピエモンテ州)
- タイプ:カカオ・リキュール(リクオーレ・アル・カカオ)
- 原料:エクアドル産アリバ・スペリオール・セレクト種カカオ豆のアルコール・インフュージョン
- 監修:トリノの名ショコラティエ、グイド・ゴビーノによる豆の選定
- アルコール度数:28%
- 色:マホガニーレッド
- 受賞:コンクール・モンディアル・ブリュッセル 金メダル
- 容量:700ml
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